お誕生日にお父様のお友達がいらっしゃいました。
私のお誕生日なのに、私の見知った顔は少なく、その多くがお父様の知り合い。
私は見たことも無い方々にお祝いの言葉と、高価なプレゼントを頂いて、ただ椅子に座って「ありがとう」と言うのでした。
お姫様のようなその待遇は、けれど私には酷く居心地が悪く感じられました。
お父様のお友達は、笑顔の下に何かを隠しているようで、私は内心怯えていたのです。
お父様はそれは素晴らしい方で、正義と愛を心の内に秘め、
私をずうっと愛してくださったのです。そのお父様のお友達を私は悪い人だと思いはじめていたのです。
私は禁断の果実を口にしたように、罪の意識に苛まれながら「ありがとう」を繰り返しました。
お父様は私の近くにいて、私にプレゼントを渡してくださるお一人お一人に笑顔で挨拶をされていました。
お父様があんなふうに笑っているのに、私が何を不安に感じる必要があるのでしょう。
「いや、本当におめでとう。それで、こないだの事業の話だが…」
「やぁ、元気そうだね。所で例の件はどうなっているのかな」
お友達はそればかり。お父様は適当にあしらっているようでした。
持ちきれないプレゼントは私の椅子の横に山のように積まれ、それでもまだプレゼントは襲ってくるのでした。
「人気者だな」
お父様はそう言って私の頭を撫で、テディベアを私の膝にのせました。
「私からのプレゼントだよ」
ウインクが一つ。
それだけなのに、私の不安な気持ちは一瞬で晴れました。
一人でも、心のこもったプレゼントがあって欲しいなぁと、私は他人事のように思いながらお父様の顔を見るのです。
即興小説15分。
【誰かは紳士】