好きな人がいた

ずっと見てきた人がいた。
お隣の背の高いお兄さんは、私とは5つ離れていて、小さい頃から実の妹のように可愛がってもらっていた。お兄さんはそれでいいのかもしれないけど、私は大きくなるにつれてそんな扱いが気に入らなくなっていた。
お兄さんは素敵な人だ。
優しくて、かっこよくて、頭も良い。スポーツはちょっぴり苦手みたいだけど、そこがまた可愛い。
私は高校生になってから、お兄さんの事を考える時間が増えたようだった。
周りで彼氏を作る友達が増えたからだ。
皆が彼氏の話をして、その内容が彼の事が好きだから言えるのだと考えたら、私のお兄さんへの気持ちが恋なのだと分かった。
お兄さんへの気持ちを理解してから、私は毎日お兄さんの事を考えていた。考えざるをえなかった。
登校中も、友達の話を聞いていても、ご飯を食べても、お風呂に入っても、夢の中でも。ずっとお兄さんが出てきた。
気付けば、お兄さんとはもう1年くらい会っていなかった。
私の24時間を占めるお兄さん。私は好きを通り越して腹立たしくさえ思った。
私だってもう立派に恋愛ができる齢なのに、どうして迎えに来てくれないの。どうして私を見てくれないの。眠れずにそう考えていると、私はいてもたってもいられずにお隣の家に向かった。
お兄さんの家の明かりは消えていた。時間は深夜1時を超えた所だった。
お兄さんの家の合鍵を使って中に入ると、階段を軋ませてお兄さんの部屋に向かった。
ずうっと覚えていた家の間取りはちっとも変っていなくて、私は安心した。
お兄さんの部屋の扉の前に立つと、中から声が聞こえてきた。
声だった。ただの声に過ぎない。
私は勢いよくドアを開けて中に入ると、すぐに走ってお兄さんに抱かれている裸の女の首を絞めた。
お兄さんが私を押しのけると、女がせき込んで、私は、そこにあった本でひたすら女を殴り続けた。

即興小説。15分
【破天荒な恋】